[初老の紳士、浄玻璃公園の片隅にて。
>>26若者に話しかけられることがあれば、嬉々として語る。]
「対の王……。ふっ、それを求める者かな?
それならば私の同志だ。聞かせてあげよう、その伝説を。
あの輝きを手にすることは、もはや無いのかもしれぬのでな……。
——そう。
かつて、マブスラの始祖が持っていたのは、手頃な大きさの宝石だった。
当時の貴族の間で、それを弾いてぶつけ合い、勝者を決める遊びが出来上がった。
ルールは単純、先に欠けたほうが負け——欠けた宝石には価値がなくなるのでな。
勝負をすることは、貴族としての財産を賭けるも同義であったのだよ。
始祖が持っていた1対の宝石こそが、「鎧龍王」そして「銀鷹妃」と言われている……。
壁に衝突した際、表面についた傷が偶然にも龍のような紋様に見え——
また、銀で作られたもう片方の宝石は、軽くて堅く、一弾きで空を舞うかのように——
いつの日か、それらは始祖によって夫婦石として祀られ——
やがて——」
(#5) 2017/06/15(Thu) 22時半頃