[ 進行方向向かって左側の窓からは流れる天の川
きれいな水はガラスよりも水素よりも透き通って見えますが
時々眼の加減かちらちらと紫色の細かな波を立てたり
虹のようにぎらっと光るので
辛うじてそれが流れているのだとわかります。
その傍ら青白く光る銀河の岸に、銀色の
空のすすきはもうまるでいちめん、風にさらさらさらさら
ゆられてうごいて、波を立てています。
反対、右側の窓からは見えるのは野原と
そこに広がる燐光の三角標。
遠いものは小さく、近いものは大きく
遠いものは橙や黄いろではっきりし、近いものは青白く少しかすんで
あるいは三角形、あるいは四辺形、あるいは電や鎖の形
さまざまにならんで、野原いっぱいに光っているのでした。
少し行くと直に 線路の縁になった短い芝草の中に
月長石ででも刻まれたような、すばらしい
紫のりんどうの花の群生を見つけることでしょう。 ]
(#3) 2016/08/14(Sun) 00時頃