―大浴場/深夜未明―
ふーっ、よかったー!まだあったかいぞ!
[トニーが気が付いた時には、雨風の吹きすさぶ外――食堂の入口ちかくに立っていた。空から体ごとふっとびそうな横殴りのビンタを頂戴し、「うへぇやっぱすげー!」と内心はしゃぐようにして屋内に戻る。自分の立っていたその場所に疑問はあるが、小さな自分の足あとらしきものがぬかるんだ地面にバッチリ残っていて、寝ボケてたんかな?と首を傾げる。何にしろ、とりあえず、真夜中に外にいたことが誰かにバレたら大目玉だろう。誰にも会わないように気を付けながら、そのまま、利用時間のとっくに過ぎた大浴場に飛び込んだ。]
それにしてもなー。
なんでおれ、あんなトコにいたかなァ。
まー足あとも消したし、イアンにーちゃんが起きなきゃ
おれが外で”遊んでた”のもバレねーよな!
[そうしてやんちゃ坊主はホカホカと、汗もニオイも嫌なことも全部全部雨の中に打ち捨てて、家のよりもフカフカな布団の中に意気揚々と潜り込むのだった。]
(*36) 2017/08/15(Tue) 05時半頃