[こんな時なのに、マユミの肌が触れたことに俺は動揺していた。マジか、で頭がいっぱいになっていた。さっきまでの悲壮感は何だったんだと、無理やり冷静に分析をした。俺はその日初めて知った、女の子に抱き着かれると、思考が止まる]
あ……いや、その。
うん。処刑なんてさせない
[俺はもう気付いてしまっていた。この村の祭りがくるっている。そして、俺にはコミュニケーション能力がない]
……ごめん。ちょっと、その、落ち着かない
[強引にマユミの体を離し、深呼吸をした。微かに、香が尾行をくすぐった。処刑をさせない。それが無理でも、気づいちまったから、そうだ]
友達を助けよう
[マユミの言葉を繰り返した。
不純なのか、自分が単純なのか、わからないけれど。
なぜだかひどく単純に、俺はそう決めていた。背中にじわりと、かいたことのない汗をかいていた]
(*28) 2016/03/31(Thu) 23時頃