[突き刺し抉ろうと周りの筋を切ろうとするたびに、ビクリビクリと震える体は────気持ちが悪いな、と目を細めたか。
口から漏れる声さえも、男にとって気が狂いそうなほど嫌いなものだった。
恐らく筋肉が弛緩して自ら制御することができていないのだろう。舌を垂らす姿が目に入ったのなら、その姿に微笑んでみせたのだ。
嗚呼、これで動きさえしなければ最高。
彼女を床へと下ろすことが叶ったのなら、床へと腰を下ろし────慣れないから不恰好なのは仕方あるまい。────人形の頭を自らの膝に乗せただろう。]
……。…どうかしました?
[荒い吐息、動く体。
────生が感じられるものは美しくない。
その手が伸びたのなら、男は一度ナイフを眼孔に沈めたまま手を止めて。その彼女の手を取ってみようか。
美しい眼球が埋められていたはずの、片方の眼孔は────そこを満たす赤さえ愛らしく見えて。己にも同じような穴が空いてしまったのだが、それすらも忘れているようだ。]
(*24) 2016/03/03(Thu) 10時半頃