[本部を完全に掌握するということは、つまりこれまで共に戦ってきた対魔忍たちを陥れると言う事だ。
それに何の感慨も抱く様子を見せず、優しい笑みに蕩けた笑みを返す。
組織に属する研究者としての矜持は、既に何処にも存在しない。
今の己にあるのはただ、直円に与えられる快感と、喜びだけ。
髪を撫でる手に嬉しげに目を細め、指示されるまま四つん這いの姿勢を取る。
しかしこの格好では、直円が見えない。
尻肉の上を掌が這えば、ぴくんと震えて期待を示すけれど――。]
……リツ、の
[声に混じったのは、戸惑いと、微かな落胆。
リツが行方不明になったのは5年前の話、それからずっと彼が直円の元にいたのなら。
そう思うだけで嫉妬に似たものが胸を渦巻く。
しかし、それでも、直円の命令は絶対だ。それに。]
……ッは……っあ、ぁあ、っふ、ぅ……ん、む、
[直円の手が己の髪に触れ、窄まりに触れた熱が押し込まれるだけで、兆したものは霧散する。リツのものが眼前に晒されれば、何の躊躇いもなくそれを口内に導いた。]
(*22) 2016/06/09(Thu) 01時頃