─洞窟探索前頃>>*16─
[流香の『弱さを悪いもののように扱い…』という声に、…は息を呑んだ。果たしてその音は、この回線を通して伝わるものなのだろうか。
そうして暫し彼女の言葉に意識を傾け、苦く笑う]
でも、俺は……。
[今でこそ同じ魔法使いであるが、当時は魔法使いの子供である自分と、魔法の使えない良家の息子であった不二。
力という部分では、きっと自分の方が優位だったと思うのだ。
牙を持っていた。
己が耐える心の強さを持っていれば、揮う事のなかった牙を]
っ、ごめん。上手く言えない、や。
けど、生意気だとは思わないよ。そう言えるのは、やはり君の強さだと思うから。
[子供の頃に湧いた、切迫した黒くて昏い感情。
吐き気の様に込み上げてくるそれに耐え、そうして…は彼女の言葉から感じる強さを、再び声にして届けた]
(*19) 2013/08/22(Thu) 21時半頃