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[少女達のやり取りを、暫し物陰で眺める耳に、…いや、頭の中へと不意に耳傍で発せられたような悲痛な『声』が響いた。どこかそう、聞き覚えのある…しかしこれ程の切実な響きでは聞いた覚えのない。
思わず、軽く瞠った双眸を、何者も居る筈がない夜闇へと探るように彷徨わせ──僅かに双眸を薄め]
……、『お仲間』さんか。
ローズマリー、…こいつは、アンタの、『箍』かい?
[僅かな思考の後。囁くような思考で、叫びの主へと声を送ると。一人、天を仰いだ瞳に、…微かな痛みに似た歪みが掠めて通り過ぎた]
──参ったなァ。
…ンな声を聞いちまったら、…今夜の「餌」には、できそうにねェ。
アンタに免じて、止めておくさ。──ああ。残念、だがな。
[少女達へと、視線を戻す。微かな、何事かへの舌打ちと共に、呟きの音量でテレパシーは薄れた]
(*17) 2013/07/28(Sun) 23時頃