─ サイドストーリー: ルーナセス ─
[ 一日で山を越えてまた戻って来いとか、魔物の上官は割とナチュラルに高難易度な要求をしてくる。
羽持たぬ人間としては、何か工夫をしなければ、とても着いていけない訳だが。 ]
……馬が欲しいな。
[ 乗用の魔犬に、この日振り落とされるのは三回目だ。
ヴェラは転がったまま空を見上げた。
元より乗馬の心得はあったが、乗犬はまた勝手が違った。
背の形が違うから、当然騎乗スタイルも違う物を求められる。
あいつら上に乗ってる方の事情も気にせず気軽に上下に跳ねるし、地面は近いし、
どこにでも入りこみやがる。 ]
[ ふ、ふ、と赤い舌を出して、落ちた人間を探しに魔犬が帰ってきた。
なんで上手く乗れないんだ、と不思議そうに尋ねる魔犬に、勘弁してくれ、と返す。
草を払いながら立ち上がったところで、さっと大きな影が地面を走り抜けた。 ]
……?
(*12) 2013/11/22(Fri) 15時頃