187 お狐祭り村


【赤】 白銀∴秘星 マユミ

[まず目についたのは、風化して変色した布きれ。隙間からは4本の棒が突き出ている。棒状のソレは、微妙に歪んだカーブを描き、表面には細かな孔があいている。そのうちの1本に手を触れる。間違いない。これは上腕骨だ。前腕骨に大腿骨。やや離れた箇所に、丸いシルエットも見える。おそらく頭部の骨だろう。布きれに見えたものは、おそらくは劣化して変色したワンピース。一人の成人女性の白骨死体。6年前に失踪した、母だ。

ようやく会うことができた。けれど、なぜこんなところに?懐中電灯で辺りを照らし、他の手がかりを探す。すると、白骨死体が倒れていたすぐ傍の岩壁に、溝が掘られていることに気が付いた。右の軍手を外し、人差し指でそっと溝を撫でる。縦横の曲線の組み合わせ。おそらくこれは漢字なのだ。上方の溝から順に指を這わせていく。最初が「白」次が「銀」三番目が「真」最後が「人」]

(*5) 2016/03/30(Wed) 05時頃

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