―回想:1日目 早朝―
[朝日がまだ昇りきらない早朝。いつものように真弓は、厚い布団から身を起こした。顔を洗い、髪をとかしながら、今日の探索先について考える。
それなりに大きく、山谷の自然に囲まれた村だ。冬季に入れば、探索できる場所も限られてしまう。女手ひとつでやりとげるには、それなりの時間を有した。約5年もの歳月。手製の地図の大部分が×印で埋まった。残された時間は僅か。もって半月以内。祭りの中で処刑される前に、なんとしても見つけ出したかった。贄の栄光を授かるのはそれからにしたい。
小川を通り、吊り橋を渡る。軍手に安全靴。厚手のジャケットにズボン。懐中電灯のついたヘルメット。必要な道具をリュックに積み込み、通学用の鞄も忘れずに持っていく。探索を終えれば、鞄に入れた制服に着替えて、通学できるようにしてあった。
天候の良い朝にのみ、安全と通学に支障がない範囲で、という条件で、鹿島家の家長には許可をとってある。遥香には恐らく知らされてないだろう。隠すつもりはないが、わざわざ言うつもりもなかった]
(*3) 2016/03/30(Wed) 03時半頃