[そうして其れは、解放したサイモンの説教も無視して、自分が弄んだ魂達を、またどこかで、同じ時を添い遂げられる様にもっと至高なる者へ取り計らえと要求した。
当然、サイモンの表情は渋い。
本来ならば、其れは処罰されるべき行い……見届ける者としての不可侵を破ったのだから。
けれど其れは永きを過ごしていたから知る事も多い。振る舞いは子供であっても。
永き時を過ごし、監視する者。それを至高なる者が創り出すのには、なかなかの時を有すると。
ちょうど誕生の監視者が代替わりしたばかりだ。と言っても、人間が三世代くらい系図を綴る時間なのだが。
だから、未だ其れには終焉の監視者として居座る時間を与えねばならなかった。
それをサイモンに突きつければ、彼は口をへの字にして何も告げずにいる。図星、というヤツなのだろう。]
「そんなに不満なら」
『手土産もつけてやるわ』
[そうして其れの身体から抜け出したのは1
1黒い蝶 2黒い蛾]
(*1) 雪夜 2014/07/21(Mon) 02時半頃