─5月5〜6日 深夜 路地裏周辺─
[少女達のやり取りの内容までは聞き取れない。──脳髄に響く、『仲間』の…確かに知った、その『声』。微かな溜息が咽喉を満たした。
なぜだか、痺れるような…ひどい苛立ちが腹の底から湧き上がり、ローズマリーと、…彼女と対話する一人の少女へと、薄らと目蓋を伏せた視線を夜闇から注ぐ。
──なんでこんなにまで、人間臭ェ。…本当に、最悪の気分だ。
今宵は『彼女>>3:108』を、壊そうとそう決めた。眼前の『人間達』、…感染者の、己の、人としての感情を想起させる存在を、滅茶苦茶に踏み躙りぶち壊してしまいたい、衝動。それは、自身が感染者であるからだけでは、決してない感情で。
『仲間』の願いがローズマリーの生であるならば、せめて彼女を、眼前の『人間』を、 喰いちぎり、 たい]
[彼女が一人になったのは、いつの頃だったろうか。夜闇から不意に喰らいついた己の姿を、少女が認識できたかまでは知りたいとも思わなかった]
(*0) 2013/07/29(Mon) 00時半頃