[突如として、プロセスを失ったかのように――無理に例えるのなら、紙芝居のページが替わったかのように――アイリスが涙を溢れさせていた>>@412。溢れるという表現がこれほど相応しいこともそうないだろう]
そうか、君は……。
[喪失感。己が失って久しい感覚。「足りてない」だなんてよく己を表現しているが、なんてことはない。「足りてない」のではなく、もとから「何もない」のだ。己には]
とは言っても、寂しいねぇ。
[聞かれないように、溜め息に混ぜて呟く。喪失感からくる想いの正体は、きっと情だ。自分の心を埋めていた何かが失われて、その空虚から取り残された思いの丈が涙として溢れ出る。友情も愛情も、それらの全て、その向ける相手がいなくなったら情だけが虚しく残るんだ。記憶を喪失できる自分に、どれだけそんな情が残っているだろうか]
誰も、喪失感なんて味合わないで欲しいもんだ。
[自然と漏らした言葉の意味は、自分でもよく分からない。中身のない己にできるのは、せめて彼女が涙を溢れさせる間だけでも視界から消えないようにすることくらいだろうか。なんて、らしくないと思いながらも、意図せず思考をぼやけさせるのだった]
(@416) 2014/11/04(Tue) 22時半頃