[嫌がるのは>>*26自分が崩れることが分かっているからだ。
彼と過ごす間は、自分が「魔」に堕ちてもなお妻を愛する男、ではない、別の何かになってしまう。
誓ったはずの復讐すら忘れて、欲しいと縋りついて啼いて、離れることを惜しんでしまう。
>>*27可愛い、などと普段言われれば嫌悪感に顔を顰めるだろうに。
今の間だけは、その言葉の意味を図りかねる、というのを表す複雑な表情を浮かべるだけ。
>>*28強請るまま与えられた口付けに溺れるように目を細めれば、ちくりと輪郭の線をなぞるように藤之助の指が蠢いた。]
ぁ、……ふ、
[ぐ、と指が肉に食い込む感触。
それが何を齎すかは知っている。皮膚が裂ける痛みにうっとりと目を細めていれば、ぼこりとその部分が浮き上がって、新たな「目」が植わった。
――これでまた一つ、彼に近づけた。]
(@50) 2018/02/25(Sun) 00時頃