[そして館内に起きる変化を目に収める。
ミルフィに殺害されたと思っていた芙蓉はどういうわけか生きていた。
礼拝堂でマーゴと対峙する彼女の姿を見つめる彼の頭には、二人のどちらかが死ぬだろうという予感が過る。
この二人もまた、仲が良かったような気がしていたのだが。
やがてマーゴの振るう槍が芙蓉の腹を突き通す。
対する芙蓉も匕首で反撃をしたが急所を傷つける事は出来ず、
受けた疵口から流れ出る血があたかも涙のようにマーゴの頬を撫でる。
腹を貫いた友人の両手を包み込み、喉に牙を立てるマーゴの顔には、
このような凶行とは正反対の慈愛の笑みが浮かんでいた。
禍々しくも、神々しくも感じられるその姿に知らず身体が震えた。]
(…マーゴも吸血鬼になっているって事ですか。)
[都合、三名の吸血鬼がいる事を確認し、彼はそっと息を吐く。]
(@45) 2014/11/13(Thu) 21時頃