―過去回想―
[隊長と共に任に就いた、辺境の魔物討伐中のある晩のこと。
作戦会議を終えて散会し、広いテントに隊長と二人になったことがあった。
その時、彼は唐突に]
「なあ、お前は魔族との混血だからだという噂だが…本当か?」
[そう、聞かれたのだ。
年齢にそぐわぬ実力を持ち、次期隊長と言われていることを妬む者も多い。
噂はそんな連中が囁いていたのは知っていたが…知らぬふりをしていた]
………はい。
「そうか……わかった。変なことを聞いてすまなかったな。
次の隊長はお前に託すと決めている、今後も変わらず励めよ」
[混血であることを認めた自分を次代に指名するといい、彼は笑った。
その晩は任が重すぎるとだけ答えてその場を辞したが、困惑は消えない。
騎士隊を退団したのは、討伐任務を無事終えてから間もなくだった]
(@32) 2015/04/23(Thu) 14時半頃