[気紛れに任せて羞恥や不快を煽ろうとする、普段の素振りがなりを潜める>>*14。
そうして事も無げに返る承諾に、>>*15触れるのを迷う間もなく唇が塞がれた。
からかうでもなく情欲を煽るでもないそれに、物足りなさと充足感を覚えてしまうのがまた、苦しい。
いくつかの粗相で取り上げられたものもあるが、結局のところ、この首魁はフランクの望みを拒みはしない。
歪な形であれ妻は彼の力を借りて「蘇り」、今なお傍にいるのだ。
妻と共にある時間こそフランクが求めてやまなかったものに違いなく、それを甘受し続ける為に彼の命のままに働く。
それが「魔」に身を堕とした元対魔組織の技師――フランクの目的であり、理由でもあった。
その、はずなのに。
この唇はもう、彼の唇の感触しか覚えていない。
この身体はもう、彼の体温を覚えてしまった。
では、手離すことを許されない、自分の心は。]
(@31) 2018/02/24(Sat) 12時半頃