―廃病院―
[古く朽ちかけた病院の手術室。そこをひとときの根城として、小柄な少年が持ち込んだ機械をいじくり回している。]
んーンフーんっふふー、粘度ー密度ー鮮度ーどれもイイね!
[目の前の機械の中ではショッキングピンクの液体が重い音を立てて沸き立っている。
巨大なフラスコのようなその容器によじ登り、手持ちのシリンダーに少量吸わせて戻ると、けたけたと笑い声をあげた。
精製しているのは、高密度の媚薬にナノマシンによる洗脳効果をつけた特注品だ。
常識を破壊し、欲に忠実になるような薬品。同胞からの面倒な依頼にも、これなら応えられるだろう。
依頼されたのは、この病院一帯を満たすガス。
捕らえた対魔忍を更に狂わせるトリガーだった。フラスコの中では粘液状だが、機械で霧散させればそれは重く甘い霧となる。]
(@28) 2016/06/05(Sun) 10時頃