[視線を上げる。潤んだ目は先ほどまでと変わらないが、そこに乗るのは欲情の色ではない。
汚れた口端を手の甲で拭ってから、は、ともう一度大きく息を吐く。
フランクが落ち着いたのを確かめて、触手はフランクの性器も同様に清める。
未だにほてりが残る肌。唇の感触もありありと覚えている。
それらを振り払うように、藤之助から視線を逸らし、首を軽く振って。]
……ンで?
ケヴィンがネコの相手すんだろ?
俺には何か別の命令があるんすかね。
それとも、俺は俺で好きにしろ、ってんですかね。
ゴシュジンサマ。
[或いは、もう一度――なんて、質の悪い冗談は飲み込む。
藤之助の上から退き、片方の素足でたたらを踏むように床の上に立った。
藤之助からの命があるならば、それに従う。でなければ、ケヴィンがネコを構うところを見に行くのも良いだろう。
いずれにせよ最優先されるのは、藤之助の言葉、だ。*]
(@11) 2018/02/25(Sun) 10時頃