【独】 奏者 セシル

>>-1377

　ごめんなさい。
　でも、知ってるでしょう？
　……やきもち焼きなんだ。

[殊勝な言葉とは裏腹に眦は嬉しそうに和らぐ。
　尖る眼差しも、かみ締められた唇も、不快そうな声も、
　悦びをもたらすものでしかなくて]

　そんな想像されるのもいや、
　―――ッ、あ……　、

[片足だけの紅い靴、ヒールに力を込めようとした瞬間に引き寄せられる。
　バランスを崩した紅の爪先は、きっと彼に苦痛をもたらすけれど、その予期すらも高揚も変わる。ただ口付けに夢中になれば縋る指はいとおしげに金の髪を乱した]

(-1399) sen-jyu 2011/07/03(Sun) 20時頃