>>-907 [出来る事なら部屋には入れたく無かった…のだけれど、それは呆気なく失敗に終わる。
引いた扉を身体で押さえていなかった事を後悔したが、それをしていても結果は同じであったかもしれない。
まだ熱の灯ったそれを隠すように、シャツの裾を些かに掴んで合わせを前に寄せて、ふわりとした空間を布と自分の前に作り出す。
どんどんと赤くなる頬を隠すように俯いて、視線を逸らした。
…持ち主だ。到底誤魔化せる筈もなく。
"自分のものでは?"
という意味の問いには顔を伏せたまま頷く事しかできず。
ちらりと彼に視線を投げれば、案の定。
ついさっき、枕に向かって名を呼んだその人が、口元に意味ありげな笑みを浮かべて此方を見ていた。
(ばれてる)
そう自覚した直後、それを問い正され。
合わせた目を逸らす事もできないまま、硬直する。
喋れる筈も無いのに言い訳をしようと口が開くが、唇がふるふると震えるだけ。
シャツを合わせた指も、同じく小さく揺れていた。]
(-911) prin 2014/07/04(Fri) 23時頃