[大丈夫、という返事を聞いて、ほっと息を吐いた。
事故だということはよくわかっているし、あの時とは違ってケイイチは全裸でもない。なにより、自分たちは恋人同士なのだし。
というわけで、おとなしくケイイチが立ち上がるのを待っていたのだけれど]
ケーイチ……?
[じっと見つめられて、首を傾げる。この体勢は相当に恥ずかしいので目をそらしたかったが、ケイイチの表情がなにか言いたげな気がして、それもできず。
あ、これはダメだ。雰囲気に呑まれる。
そう脳のどこかが警鐘を鳴らした時には、既に唇は塞がれていた]
……はぁっ。
[やっと解放された時には、すっかり息が上がっていて。そのまま流されそうになるところを、理性を総動員して、小さく首を横に振る]
ダメ……鍵、掛かってない……。
[理科室にいつも鍵なんて掛けてない。潤んだ瞳でそう主張する。
それが、鍵さえかかっていればという遠まわしの許可になっていることには気づいていなかった]
(-795) takicchi 2015/03/15(Sun) 01時頃