[鳴り響く音が止まるのを待って、ふぅ、と深く息を吐く。古時計に見られてる気がする、なんて言ったら彼は笑うだろうか。
この家の主のように鎮座してる古時計の存在がいつもなら落ち着くのに。今は落ち着かないのは、告げた言葉に下心があるせいに他ならない。
呼吸を止めた彼が、言葉を選ぶように口を開け閉めするのを苦笑しながら見守っていれば。>>-301
言葉の意味を確かめられ、ああ、と頷いたなら。
スプーンを置いて、椅子に座ったまま彼の方を向き直り。]
……ちゃんと、言い直した方がいいかな。
誰からの恋文なら、俺が喜ぶのか。
[右手に再び落とされた感触。
微かに響いた音と、一度目より熱のこもった触れ方に小さく肩が揺れ。不恰好な笑みと共に上目遣いで顔を覗かれれば、ごくん、と思わず喉が鳴った。>>-302]
(-515) SUZU 2019/08/08(Thu) 22時半頃