……。
[自分の頭を撫でるその人の表情が、今まで見たことのないものだったので。どうして良いか解らなくなった。]
……おれね。南方さんて、いつも飄々としてるっつーか、淡々…。んー…違うなぁ。こう、人の間をするする抜けてく感じがしてたんだよね。だから、ちょっと怖いと思ってた。
[それは平素から南方に抱いていた感想。けれど、そう見えていた彼がこんな顔をするなんて、余程のことなのだろう。
何だか目が離せない。その姿はいつもの彼とは程遠くて。何だか胸が痛い。]
でも、違うんだなーって。
……唇、切れてる。そんなに辛いなら、我慢しなくていーじゃん。おれにはわかんないけど、わかんないんだから。だから、おれにまで無理して笑う必要ないでしょ?
[見ているこちらが辛くなる笑顔に、顔が歪んでしまうのは仕方のないことで。
南方の口許を指先でなぞり、そこに浮かんだ血を拭おうとしたのは何故か。衝動。としか答えられないのだけれど。]
(-355) 荒佐 2014/04/23(Wed) 01時半頃