ん、
[唇の触れ合いですぐに血の気配に気づいたのか、アオの呼気が甘く震える。]
さっきの残りかな。
っ、
[少し舐められただけで傷は塞がってしまうから、アオが甘味を感じなくなる前に、頬裏を強く噛んで唾液と混ぜた。
混ざった分味は少々劣るかもしれないが、薄く開いた彼の口腔に自らの舌を用いて運ぶ。
アオの舌腹を自分の舌先で擦り、ちゅ、と吸い込んで今度は血の湧く箇所に誘った。
アオの少し冷たい舌も、男の熱い口腔内でじゃれ合う内に温度が移って同じになる。
それだけの時間をかけて少しずつ飲ませている間、行儀の悪い瞳はずっとアオの表情を見ていた。
瞳より感情が表れやすい眉根だとか。
段々紅潮する肌理の細かい頬だとか。
後頭部を男の指が掻き回す度に震える長い睫毛だとか。]
(-337) Ellie 2019/10/15(Tue) 16時半頃