─回想/3日目・仮想空間内、トレイルの部屋─
[ミナカタを呼び、自室で酒を傾ける。
残り少なくなったビール缶を軽く揺らせ、暫し考え込む様子の彼の横顔を見詰めた。
だが、返された問いには小さく目を瞠り、沈黙を挟んだ後]
俺ね、幼馴染が居たんだ。
物心ついた時から、ずっと一緒に居た奴。
同じ大学に通って、同じ仕事に就いた。
働き始めてから、一年位ぇした頃かな、ソイツ……突然、居なくなってさ。
[缶を見詰め、訥々と語る。
幼馴染については、此れ迄他の誰にも、自ら話した事は無かった。
だが不思議と、彼には言える様な、聴いて欲しい様な気がして]
『ハルシネーション・ブルーは本当にあったよ』
最後に寄越したメールに、そう、書いてあったから。
俺はどうしても、知りたいんだ。
あいつが、……正弘が、何を見たのか。
(-205) kataru24 2014/03/27(Thu) 20時半頃