あっ……ぁ、ん……―――
[私の口腔も、きっと他人のそれよりは冷たいと思うのです。
啄ばまれたその先、口腔に感じる熱に、私は熱いといいかけて、その言葉を全て奪われてしまいました。
手と手、重ねていたのを解いて、ディーン様の頬に添える間に、抱き寄せられる身体――触れればそれも熱くて、溶けそうで心地よくて。
もっと溶かしてと擦り寄れば、一度とかれるぬくもりに、きっと私は寒そうな表情をしていたと思うのです。]
……貴方が、望むなら。
[両の手取られて接吻けを受ければ、小さく震える身体は、恐怖や不安からでなくて。抱くという意味、全く知らないわけではないけれど、きっと正しく理解してないことに、頷くのです。
たった一度だけ、アンナに男女の営みについて学びました。
けれど私はその内容よりも、殿方にあるという器官を模し作られた翡翠の碧の方をよく覚えているくらいなのでした。確かそれも、私の宝箱の奥底にしまってあるはずなのですけれども。それは、今は関係のない話でしょうか。]
(-52) 2011/02/10(Thu) 17時半頃