独白ーー
生まれてこの方友人がいたことなんて一度も無い。
だって自分に関わると面倒だから。所謂、大人の事情。
そうでなくても死んだ魚のような目をしている子供なんて、誰も相手にしなかっただろうけど。
そんな一人ぼっちの自分に、ある日話しかけてくる誰かがいた。他の人には見えていないようで、自分は一層気味悪がられた。
そいつは家でも学校でも話し掛けてきて、隙あらば此方へと誘ってくるのが常だった。子供心に行ってはいけないと悟っていたせいか、いつのまにか消えていることが多かったけれど。
力が強いのか引き寄せるのかなんなのか、年をとるにつれ見え方がはっきりしていき、中学に入学する頃には会話も出来るようになった。
お祓いは出来ないが、帰ってと言うと帰ってくれるので良しとする。
わかば荘は、そんな自分に丁度いいアパートだと思った。
なんたって隣には墓地がある。
住人と仲良くする気がなかった当初の自分には、好都合の物件だった。
今はもう、住人の皆が大好きなのだけれど。
(-20) 2013/12/30(Mon) 17時頃