─数日前、ブランシュポム─
[雪が降り続くせいか、子供服のクリーニング依頼が日に日に多くなっていた店内。
セレストが旦那さんと呼ぶ店主が、ハンガーレールにかかって早幾日になるジャケットの存在に気がついたんだ]
あら、これ。うちのご近所さんのだ。……私、届けに行きましょうか?
[綺麗に血が落ちたジャケットはビニールに包まれ、そこに下がるタグをなんとはなしに眺めてみれば、そこそこの付き合いになるご近所さんの名前。
セレストの申し出に旦那さんは頷き、そうして依頼をこなす合間に、トレイルのジャケットはセレストの自宅へと持ち込まれた。
その最中、何やら怪しげな男が3人ほどセレストの後を尾行するかの様に追いかけてきたんだ]
(様に…つーか、完璧な尾行よね)
[時に娼婦やキャバレーのお姉さんを工作員として派遣し、自分はターゲットの素行調査をする事もあるセレストは、家路に着く中、その存在に気づいたんだ]
(……私、じゃないな。と、すると……)
[雪の中、普段と変わらず歩きながら、尾行する者の視線の気配を追ってみて。そうしてセレストは、その視線の先にトレイルのジャケットがある事に気づいたんだ]
(1257) 2014/01/25(Sat) 21時頃