―12 独房―
[微かな声>>963にぴくりと肩を震わせる。
母が父と思い込んだように、カトリーナが我が子と間違えたように、彼女も自分を兄と思ってくれたら――との淡い期待は、覚醒した彼女に名を呼ばれた>>965事で消えた。
能力が発動しなかったのは、記憶の中の彼女の兄が朧気だったからか>>962、メアリーの能力がセオドアのそれを無効化したからなのか、別の理由か。いずれにせよ、自覚のないセオドアには分からない事。]
……どこも痛くないか?何か、されたりとか……。
[鼻腔を擽る上品な香りに背筋が落ち着かない。
礼を言われると、口づけようとした後ろめたさも相まって視線が泳いだ。頬骨の上がうっすら染まる。]
……起きたんなら、いい。
じゃ……、
[これ以上二人きりでいると理性が飛びかねない。
立ち上がり、扉に手をかけた。**]
(971) 2012/04/10(Tue) 10時頃