―― 茶茶/雪積もる中 ――
[降り積もる雪は、徐々にダウンタウンの機能を麻痺させていた。
元々、街としての機能はさほど整備されていない。
盗電をしながら細々と暮らしている住人もいるぐらいなのだから、キャパシティのなさは察せられるというものだろう。]
生憎と。俺は何も知らんよ。
確かに逃げ込んだと言う話は聞いたがな。
それらしい者は目撃されていない。
もうそれなりに日数がたつだろう、おまけにこの雪だ。
――死体を探すことを勧めておく。
[男の言葉は、取引をする前は適当に真偽を織り交ぜるものにしかならない。
なにより、顔見知りが絡んでいるらしいのに、事情を全く理解していない情報を売り渡す気にもならなかった。
電話の向こうの相手は躊躇ったような声を出す。
一刻も早い確保を、とでも命じられているのだろうか。
生憎と男は電話口でこれ以上喋る気はなかったので、それ以上は聞かずに電話を切った。*]
(958) 2014/01/24(Fri) 21時半頃