[ふわり――、柔らかな匂いが漂って。蠍は逸らしていた視線を上げる。翼枝を重く、撓垂らせていた蕾がひとつ、また、ひとつと花開き、やがて] エリ!![終わりの訪れを知り、真白き貌は死人のようにいろを失う。手を伸ばす、蠍の瞳に映るのは、少女の生命を糧に咲いた、呪うべき花。それなのに、――――きれいだ。そんな思いが過るのは、どうしてだろう]
(724) ひびの 2016/10/23(Sun) 20時半頃