[さて、それから今日に至るまで、空木というクラスメートとの関係は続いてきたわけだが。
漫画の貸し借りで、最初におすすめされた話は、
ぼくが普段は読まない奇妙なストーリーで、とても興味深かったのだけど、
だんだんと、ぼくのほうに好みが寄ったチョイスになってきていたとは思う。
まあ、気のせいだよな、と考えることにしたんだけど、
もしも空木がぼくに気を遣ったセレクトをしていたとしても、やっぱりか、としか思わなかっただろう。
ぼくにとって物の貸し借りはコミュニケーションの手段のひとつなわけで、
それを満たせるのなら何でも構わないと思っていたから。
空木がぼくとのやり取りの中で何を考えていたのかなんて、
想像して、分かったつもりになることはできても、本当の意味で分かることなんてできない。
それこそ、彼本人になって生きるという内容の、胡蝶の夢を見ない限りは。*]
(643) 2018/08/23(Thu) 23時半頃