―― 前夜祭 ――
まじクソ
[陽が暮れる。コッペパンを食いながら毒づいた。
俺はぼんやりと校門にほど近い物陰で、前夜祭が始まるのを見届ける羽目になった。
散々人をこきつかいやがって。何が連帯責任だよ。勝手にやってろ。
そう、俺に準備を手伝わせたクラスメイトに思うが、「じゃあさっさと逃げればよかった」という事実にはそっと蓋をするし、なんなら劇の道具についてはキャンプファイヤーの材木みたいに崩してもいないことを添えよう。
認めよう。俺はまだ期待めいたものを抱いていると。
人並みにありえる青春というヤツに。
人並みにありえる学校生活に。
こんな風に皮膚が爛れても。
……髪で隠した、赤くただれた火傷痕に静かに触れる。グロテスクな感触に目を細めた。首と、背中半分。あと、足。刻まれた傷は消えない。少なくとも俺がさらに燃えて骨になるまで、多分、このままだろう。]
(602) 2018/10/14(Sun) 09時頃