[まふんっ]
[落下の衝撃は、下になった怪鳥の羽毛が柔らげる。
勇者の次くらいに憎たらしい鳥だったけど、羽毛に罪はないので、まふもふとその感触を堪能して―――]
「くけっ!くけぇ〜〜〜っ!!」
わひゃんっ!?
[―――いたら、不意に羽ばたき、魔王を振り落した怪鳥が、強く地を蹴り、飛び去っていく。
そう、飛び去って行ったのだ。強い風圧で魔王をころころと転がして。見れば落下の衝撃のためか、それとも内部の争いで扉を閉ざしていた魔力が綻んだのか。
いつの間にやら、鳥籠の扉は、開け放たれていた]
…ちぇっ、逃がしちゃったかぁー
[あの御しにくさと言ったら、手下にほしいなんて到底言えないような鳥だったけど。あれだけさんざん戦っておいて、ただ逃げられるのも癪といえば癪だった。
けれども、まぁ、鳥籠から出られるようになったのは確かであったので。
のそのそと這い出し、あたりを見回してみる]
(585) 2012/10/23(Tue) 22時頃