[まだすこし、もうすこし、踏み込むのには勇気がいる。
臆病で泣き虫なあたしのこと。せんせいを傷つけてしまうんじゃないかって、臆病風が心を撫ぜる。
でも、それはきっと自分勝手で、せんせいは勇気を出してお話ししてくれたんだってあたしは思うから
おでこをお腹に当てたまま、ぽつぽつとお話しする]
せんせいのこと、たくさん聞きたい、な。
せんせいの炎のことも、あたしとおそろいなことも。
お絵かきが上手になる秘訣とか、ママレードの美味しい食べ方も。
でも、最初は、あたしに渡しておきたいもののことが気になる!
[せんせいの畏れもぜんぶぜんぶ拭えるように、あたしは楽しいことでめいっぱい埋め尽くす。
せんせいと過ごす、たくさんで少しの時間を、あたしは泣き虫じゃないあたしで過ごそうって決めたんだ。
たくさんお話してね、と顔を上げる頃には、あまったるいせんせいの笑顔は消えてしまっていたかもしれない。>>533
せんせいのそんな顔が見られなかったこと、ずるい、っておもうけれど
生憎、少女がそれを知ることはないのでした。*]
(561) 2016/10/16(Sun) 00時頃