[ 自分の方が悪かった、と認めたのはヘクターへの差別を改めて以来だろうか。
戦いから逃げたくせに、覚悟も思いも本物だった。ならば、どうして逃げてしまったのだろう。
なぜ、何も聞かないで手を離してしまったのだろう。
四井は何も悪くない。もし許可を得て来ているのなら、それこそ帰れと言われる筋合いはない。ブランクがあるにもかかわらず、いきなり危険な現場に飛び込んでくる勇気。
むしろ称賛されるべきだろう。
純粋で仲間思いな四井の本質は一度として変わっていなかった。
ここまで動けるなら、きっとどこかで鍛練も続けていたのだろう。
もしかしたら、純粋故に人よりも大きな苦労もしてしまったのかもしれない。
なぜ、自分は彼に対して頑な態度を取り続けてしまっているのだろう。
話を聞きたいことはたくさんあったが、今はそのときではない。
ちらりと四井がついてくるかをうかがった。]
(549) 2016/06/06(Mon) 23時頃