[もしもシルクと同じ目線になれぬようなら、かのじょと交替しようかと考えていた。
この、ひとりでは見られない景色をかのじょにも見せたかったし。足元をこしょこしょするもじゃ髭を独占するのも、なんだか申し訳なくあったから。]
おお、これでわらわ達、すっかりお揃いじゃな!
[一度、背中から剥がそうとするユージンにそんな不安を抱いたがどうやら杞憂だったらしい。するすると、ユージンの背中から肩へと足をかける姿をにこにこと見守る。
見上げた空はすっかり藍色に染まり、まあるい月が明るく照らす中。白い髪とリュック、それからかのじょの笑顔が眩しくて目を細め。]
なんと。これを? わらわに?
……嬉しいのう。ありがとうじゃ。
[足を宙に浮かせながら、伸びた手に握られていた赤い果実をそっと掴む。オーレリアの鉢に植わっていた苺だ。落とさないように、潰さないように両手で包む。]
(532) 2015/12/12(Sat) 23時半頃