>>508 −午後・図書館−
[此方を諌めつつも柔らかな笑顔を向けられれば、ざわついた心が少し落ち着く。
ほんとうにこの人はすごい。自分の不安も、全て観えているのではないかと。]
古書、倉庫…。
[職員になってからはまだ1年も経っていないが、図書館に居るようになってからはもう3年になる。異国の書、などと聞けば自分がいまだ足を踏み入れた事のない場所に興味は尽きないが あの鉛の扉を思い出せば到底入りたいと思えるような場所ではなかった。
鍵、と問い正されるが すぐに思い当たる節がない。眼鏡を頭の上に乗せ、デスクの自分が使っていなかった引き出しをごそごそと漁る。]
ごとり
[机の引き出しの奥に、何かが落ちる音。
妙な胸騒ぎに従って引き出しをデスクから引き抜けば、その向こうに何か黒いものが見えた。]
んーーー!
[腕を伸ばしただけでは届きそうに無い。頭ごとつっこんでそれを掴む。
早く先生にそれを見せたくて、体を引き抜こうとしたが ゴツンという音と共に頭を強かに打ちつけた。]
(517) 2014/06/21(Sat) 01時頃