[こんな事を述べれば怒られそうだが、青年は全くと手品の類いに興味がなかったし、何より横文字の宣伝をそうそう真っ当に読むには時間のかかるものだったものだから。
彼女がマジシャンなどという手品師である事や、此度の主催側であるとかは知らない事だ。
厭に遠からずを踏み抜く言葉は偶然だろうか、其れとも経験だろうか、或いは …… ?
それに、変わった装束だ、などとそのまま返されてもおかしくない言葉は終ぞ口にされない。]
…………、 嗚呼、勿論、
[気にされる事などないと口にした青年は、悪気の微塵もない笑顔に既幾度目かの疵を抉られる心持をひた隠しながら同意した。>>477
形式ぶった挨拶など、この時ばかりは耳に入っても頭にまで入ってこなかった。]
…喧嘩などにはなるまいよ。
私と、彼は、そういう間柄でもないのだから。
(私が、責咎を被るやもしれずとも。
先生と喧嘩など、畏れ多い事は、)
[節介と云いながら、ゲエムを盛り上げる為と宣うその背に一対、影のよな闇色が翼を模したような形であった。>>458
(502) 2017/06/11(Sun) 03時半頃