なに、これ……世界が、刻が……――!!
[――それは、ノルニルの紬ぐ糸を辿る力。
すべてを識りたいという強い願いが、匣に残された最後の一≪パンド-ラ・ディスペア-≫を少女に与えてしまった]
え――やだ!?
やめて――私じゃない、それは私じゃない!
私はそんなことしない、そんなんじゃない! 私は人間よ――!!
[――彼女が視たのは、幾枝にも分かれる運命のひとつ。殺し殺され、滅ぼし滅ぶ。
それは、無限に分裂する世界線のあらゆる可能性を識るちから。
一個人の運命はおろか――それを使いこなせば、世界の行く末さえも【占う】ことができるだろう異能。
――それは、けれども災厄そのもの。
すべての可能性を追っても避けられない結果に出逢ったとき、それは絶望となる。
もっとも――心底望まなければ視えないという救いだけは、彼女の匣にも残されていたけれども]
(501) 2014/05/17(Sat) 00時頃