[広くてからっぽの空間で、せんせいの声を聞く。>>479
きれいだった頃の街を知らないあたしは、せんせいはこの街のこと、"きらい"じゃなかったんだ、って思う。
だけど、なんとなく何を話したら良いのか分からなくて、白い壁の欠片をとん、蹴っとばした。
それは風に飛ばされて、こつん、と乾いた音を立てた]
…あ、そうだ、
せんせい、お花。お花畑、作るんでしょう?
[そういって、からっぽの瓶に入った白い花束を腕に抱える。
花を摘み、萎れたものを土に還し、また新しいものを摘んで、切り口を水に浸して。
それを繰り返して、立派な花束にした、つもりだったけれど。
白い石の街には、物悲しく感じる気がして、
もっと色んな色のお花を持ってくればよかった、とあたしは眉を下げてしまった。*]
(486) iori427 2016/10/22(Sat) 23時頃