―ひとつ目の痣のはなし―
[その日は二度目の一つと半分の月ののぼっていて明るい夜だったの。
次の目的地までのとちゅう、宿ではなく森の中で寝泊りするときは、せんせいが獣の尾を出してくれたりしてかわいいから、野宿もだいすきなの。
寝る前に水浴びをしているとき、左鎖骨の下に、花の模様のような痣が浮かんでいるのを見つけたの]
ねえ、パティせんせい!
みてみて、これね、きっと「もうちょっとで食べごろです」ってことだと思うの。
アヤワスカ、せんせいにたべてもらえるの、楽しみなのー。
[冷えたからだを冷やさないようにと焚火の番をしてくれていたせんせいところにタオルを羽織って、髪もかわかさないままに抱きついたの。そうして胸元を開けて痣を見せたの。
ほめて?ほめて?というように。まるで身長が伸びたと喜ぶように。
普通の人間であれば、どこかでぶつけた痣に見えるかもしれないの。もしきかれたら痛いわけでもないから心配ないとアヤワスカは答えたの。*]
(481) kosake 2015/10/21(Wed) 23時頃