139 【R18】ノスフェラトゥの館【軽バトルRP】


【人】 許婚 ニコラス

―回想・銀の靴―

寒い夜のことだ。村境の教会に、手負いの吸血鬼が転がり込んできた。
今となってはその名を持つのは神父とその息子だけになったとはいえ、よりにもよって、ハンターの一族が仕切る教会、カリタスの家にだ。

銀の靴を履いたその吸血鬼は捨て鉢になっていたようで、何かに追われているようなことを言っていた。まくしたてる言葉はどれも意味不明だった。

『おまえが何者であれ、どんな理由があれど、この村に吸血鬼を入れるわけにはいかない。』

カリタス家のハンターとして吸血鬼に挑んだはずの父は、実に惨めな死に方をした。

吸血鬼は父を殺し、その息子を追い出そうとした。自分は足が悪いから、この暗闇の中を歩いて何処かに行くことはできない。せめて日が昇るまではここに居させてくれないかと、ぼくは親の仇に懇願した。

吸血鬼は、日が昇る直前、空が白んできたら出ていくようにと、少し条件を変えて承諾した。

…この銀の靴を履いた吸血鬼は、古い伝承通りに“光にとても弱いのだ”と、知った。

(464) 2014/11/04(Tue) 13時半頃

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