─ 回想・浴場 ─
ぇ…あの…ちょっと…
[>>453声をかけたらわめくように返され、流石に二の句が継げない。目をぱちくりさせながら湯煙の向こうのザックを目でおいかけ、それから困惑したようにホレーショーとクラリッサへ目を泳がせた。
実際困惑はしていた。一体全体あたしが何をした? 池に落ちてたから引き上げる手伝いをして、メガネを拾っただあけじゃないか。
メガネか! メガネに触れたのが悪いのか? もしやあれか? メガネ教とかそんな感じの宗教で、他人にメガネを触れられることが禁忌とか、そういう類いの物か?
思い返すに自分がなんで彼女にこう避けられてるのかが皆目見当がつかず、なんだか怒りすら覚えてきた。
ぷくぅっと膨らませた頬を怒声で解き放とうかとも思った矢先、彼女の庭での目を思い出す。
ああ、もしかしたら泣いたりそういう姿を見られるのが嫌だったのだろうか?
……それなら少しだけ気持ちはわかるかな?
膨らんだ頬はため息となって消えた]
(458) 2012/06/25(Mon) 20時頃