……ええええええっ!
[背後に見えるドーベルマンと繭身>>445。
最初は驚いた。そうして、一気に風景が過ぎ行く速度が速くなる。あぁ、走馬灯ってこんな感じに急展開?
って、違う。自分で突っ込んでみたが、もはや喋れば舌を噛みかねない。
必死で追いかけてくれるドーベルマンの方が愛らしく思えた。
遠くに見える繭身を縋るように見た。これ、どうしたらいいの?そう訴えかける前に、自転車は速度をどんどんあげていく。
ふっと気が遠くなった。
最後の抵抗として、ルーカスの背中の服を力いっぱい握り締めるに留めた。腰に手を回そうにも、手首が痛い。握力だけでどこまでもつかの耐久レース。
トレイルに声をかけるルーカス。視線を向けても、その姿はもう見えない。
後はただもう目を瞑った。考えるのも、見るのも、もう何もかもが嫌になった。
ほぼ諦めのような境地で風の流れだけを感じていた。*]
(452) 2013/12/11(Wed) 22時頃