彼を見送ってから、コーヒーをひとつ買って。パキ、と小気味よい音で開いたそれを呷る。
思わず誰もいない空間に「あっつ」と小さくこぼしたのは、猫舌のせいだから仕方ない。
ぼうっと考えるのは2年前のあの頃の話。
右も左もわからなくて、実際の英語となるとやはりジャパニーズ英会話とは違って速くてなんのこっちゃさっぱりわからなかった。
へらりへらり、笑って流して、持ち前のノリの軽さでなんとか乗り切った4ヶ月だったが、救われたのはツヴァイクにいる日系人の多さだった。
その中でも印象に残っているのは、そうだな、やはりあの関西訛りの男。
そこまで歳は離れていない気がする。
関西訛りで話しかけられた時は、感動したのだ。なぜってまあ、日本にいた時同じクラスに関西出身の奴がいて、あだ名が「ビリケン」だったんだけど…ってこの話はどうでもいいんだ。
(442) 2015/11/20(Fri) 00時半頃