[ガッ、]
―――ッ…ぅ、
[目の前の相手に気を取られていた男は、背後まで寄っていたドールに後頭部を殴られる。
うめき声を絞り、眩む視界の向こうにトレイルを見た。
ドール達は吸血種の何時もの玩具遊び然とした光景には構わず、己を連れ出す。
ドールの影にはもう一人の罪人の姿。>>430]
……く、……お前、
[レールは交わらない。
邪で結んだ縁があるなら、これは純然たる禍の縁だ。お互いに、相手が気に食わないのも、此処までくれば立派なものだ。
薄れゆく意識の中で、お前は殴る。とヤニクに悪態を吐いた。
もしも、そんな中、トレイルが声を掛けたのなら、ドールは罪人の行く先をしめやかに告げただろう。
――――罪人の堕ちる場所、大切な記憶を奪う場所。
その名は、牢獄アムネシア。*]
(439) 2014/01/31(Fri) 04時半頃