[そして、次の日]
高本くん……って兄弟いたっけ? 双子とかそんな感じの。
昨日うどん屋で見たんだけど。
[正面から訊くのではなく、側面からあえて回り込むように訊く。
そんな手を教室の片隅で高本に対してとっていた。
なおもシラを切られてもそれはそれでよかった。
いくら相手が高本だろうと、根も葉もある噂を流して面白がるつもりはなかった。
ただ、言いたいことがあっただけだった]
えぇと、 ……きつねうどんたいへん美味しかったです、と、
そうお伝えください。ハイ。
[そう言づける(ということにした)イロハの顔には、
ほんのわずかであるが笑みが浮かんでいた。
しかしイロハは気付かない。塩対応の顔のまんまで相対していると思っていた。
きつねうどんの味を思い出しているという自覚はあった*]
(431) 2019/06/11(Tue) 20時頃